slow pace~ゆるやかな歩みと日常の思い

やわらかであれ。穏やかであれ。そう願い続けて生きてきた、私の呟き。

お茶したくなる。癒される。3冊の漫画のこと

夢路行 川原由美子

心が疲れた時読みたい、癒される漫画紹介


小さい頃から漫画を読むのが好きでした。
「りぼん」と「なかよし」と「マーガレット」時々「フレンド」とか。

そこに中学・高校と漫画好きな友人達に恵まれて、色々貸し借りしたりで読んでいました。

ここまで書くと「アニメ好き」とか思われるかもですが、そこまで見る方ではなかった気がします。
現在も「ワンピース」や「スポンジ・ボブ」など、子供がテレビで見ているから一緒に見たりするだけで。

漫画好きだったのは、文字とセットになった絵をストーリーとして自分で追いたかったからかもしれません。


大人になってからは漫画を読む機会は激減してますが。
手持ちの書籍も結婚を機にかなり手放しましたが。

それでも「これだけは絶対手放せない!」という本だけをコンテナボックス2個だけと決めて転居のたびに運んでいます。


今回は「この本を読むとだんだんお茶時間を作りたくなる」という、お気に入りの3冊のことを書きます。

 

観用少女プランツ・ドール

 

sonorama.asahi.com

 

川原由美子さんの本。
とても綺麗な絵を描く方で、お気に入りです。

今までの未収録話をまとめた愛蔵版も買っちゃうくらい。

(こういう時、自分で働いたお金を自由に使える大人でよかったと思う)



架空の都市に片隅にある店で売られている美しい『人形』のお話

「観葉少女」は、ある街の片隅にひっそりと存在するオーナーが経営する店にしか売られていない、不思議な観葉少女(プランツ・ドール)をめぐる人間模様のお話です(基本1話ずつで完結)

そのプランツドール、とても綺麗なお人形なんですけど。人形なのに動くんですが。
プランツさんのお食事は、温めた特別なミルク。
そばに置いて、癒される愛されるだけの存在。愛情が最高の栄養。

それで、プランツドールを売っている店主が、人形を求めに来た客にお茶を出すんですけど、おいしそうなんです。
その茶葉も店舗で売ってくれるらしいです。

プランツドールが目的のお客さんですが、お茶のおいしさに寛ぐ様子がいいなって。

観葉少女にも癒され、そして店主が淹れてくれるお茶にも癒されて。

私もそんな不思議空間に行ってみたいです。


TUKIKAGEカフェ

 

publications.asahi.com


こちらも川原さんの作品。
「TUKIKAGEカフェ」も同じような雰囲気です。またファンタジー。
まるで「絵本」のような漫画です。

音のない静かなカフェ。良い香りのきれいなお茶。

ある国にある不思議なカフェの女主人「マダム」から、ある日手伝いを頼まれた少女がこのカフェで働くことになったところから始まる話。

その店には、心残りがある、もうこの世にはいない人達がお茶を飲みに訪れるという。

漫画の中では、昔から亡くなった人達は「月」に行くと伝えられていました。
そして、彼らがお茶を飲みに「月」から降りてくる場所。
それがこの「TUKIKAGEカフェ」なのです。


「マダム」の涼し気な声と佇まいが、私もそんな人になりたいと憧れます。
面倒そうなお客さん相手でも、さらっとにこやかにかわすことが出来る。

自分にはない「余裕」というものに憧れているのだと思います。


マダムが淹れてくれるお茶が、そりゃあもう・・・おいしいらしい。
茶葉も超高級品らしいのですが、それ以上にお茶の入れ方がとても上手な方らしいです。

絵本のような漫画の中から伝わってくる、香り立つ上品なお茶。

川原先生の繊細な絵、登場人物たちの抱えた切ない思い。
それを癒してくれるマダムの淹れるお茶。
心にじんわりと溶けてくるような優しいお話です。

夜話

 

www.shueisha.co.jp


3つめのお話。
「夜話」夢路行さんの本です。

昔、大人になってからのこと。
たまたま平積みされていて表紙買いしたのがきっかけでファンになった漫画家さん。
(「春の回線」という本でした)
作風は不思議ファンタジーが多いです。

夢路さん、現在はレディースコミックで描かれています。
次回現実逃避する時に読もうと思ってます。

www.akitashoten.co.jp

営業時間・午後11時~午前4時。公園の奥深くにある不思議な喫茶店。

「夜話」のお話。

主人公の高校生のまゆみ。
婚約者を事故で亡くし、うまく眠ることも食べることも出来なくなり、不眠症で毎晩犬の散歩をしているところを喫茶店のマスターにスカウトされました。

午後11時~午前4時のウェートレスとして働くことになった彼女。
不思議なお客さんが多く訪れるこの喫茶店で、彼女の心の傷もじんわりと少しずつ、時間をかけて癒されていく様子がほわんと温まる思いがします。

寂しい人しか見えないお店らしいです。

お客の様々な注文に応じる万能なマスター。
(南極の水とか普通置いてないと思います・・・)
もちろん入れるお茶も大変おいしいらしいです。


周囲の人たち(人間でないものも)の柔らかな思いやり。
そういう形無きものをそっと。
彼女のそばにさりげなく置いていくものたち。

婚約者を失った時から現実を直視出来なくなった彼女の時間が、周囲の優しさにより徐々に現実を見ることが出来るようになっていきました。


実は彼女、中年のこのマスターが亡くなった婚約者(若い)に見えていました。
声だけ似ていたとのこと。
それで、最初の頃はマスターが彼の姿に見えていたらしいです。
亡くなった現実を受け入れられずにいたのですね。

マスターはそれを優しく見守ってくれていました。

「自分の見たいものを見ていていいんだよ、・・・・まだ」
という彼女への言葉がなんだか響きました。

そうですね。
無理に傷口を治そうとしなくてもいい。
少しずつ治るのを待てばいい。


私がこの本に出会った時、実は職場で大変心身疲れていました。
癒されたくて、そして読んで少し心がほっとしました。

心の許容量が超えていた時だったので、ぼろぼろ泣きました。



夢路さんの描くお話に出てくる食事はどれもおいしそうで好きです。

別作品に出てくるおだんごやさんの彼の話を読んだ時も、和菓子屋さんに買いに行ってしまいました。
美しい季節の和菓子と丁寧に入れた緑茶。和みますよ。



なんか紹介した本が全部ファンタジーでしたけど、特別ファンタジー物が好きというわけではないのです。
たまたま、そのお茶したくなったお話集めたらファンタジーでした。

心が疲れた。現実逃避したい。
おいしいお茶に癒されたい。
そういう時に読みたくなる、私の好きな漫画紹介でした。

上記3冊どれもリンク先の公式サイトで試し読み出来るので、気になったら読んでみてください。