20代の頃、私はネイルの手入れが好きでした。
自分のために時間をたっぷりかけられる、時間もお金も自分のために自由に使えた頃のことを懐かしく思い出すことがあります。
新婚の頃まではその習慣は続いていましたが、陸の孤島への転勤、妊娠、出産、育児・・・という環境の変化により、それは忘れていました。
子供が6歳になった頃、突然自分の爪を意識する日がやってきました。
幼稚園の年長です。
関東に転勤で転居。子供の幼稚園も転園。
それを機会に新しい土地で子供の習い事を探すことにしました。
前に住んでいた土地と違い、それはそれは多種多様な習い事教室があちこちに近距離で選び放題だったからです。
(お金はその分かかりますけど)
まず子供にやらせたかった習い事、それは公文。
ちょうど自宅から歩いていける距離にその教室はありました。
「子供が成長して小学生になってから自力で通える距離」というのもポイント。
詳しく話を聞きに行った先のそこの責任者の女性。
目が釘付けになりました。
それはそれは丁寧な、凝ったネイルアートを施した指先。
公文の資料を指さしながら詳しく説明をしてくれる、その爪にばーっと昔の記憶が蘇ってきたわけです。
「うわ。すごく綺麗。ああ、そういえば私もネイルサロンに通ってたわ」
と、出産前はたっぷりあった時間で手をかけていた過去のネイルのことを思い出し、そして同時に自分の爪に無関心であった日々を振り返るのです。
日々の場当たり的にこなしていく育児、家事で爪の手入れなんて忘れてました。
その公文の責任者であるマダムは、私より10以上は年上だと思うのですが、いつもフレンドリーに話しかけてくれ、気配り配慮が長けた方。
見知らぬ土地に転居して、知り合いもいない私にはちょっとした立ち話で癒されてました。
子供の公文のお迎えに行くたびに声をかけてくださるその時に、いつも凝ったネイルのその指先に目が行ってしまうのです。
ピンクやレッド系が多いかな。
そこにラメとかお花とか、可愛く上品なデザインが多いようです。
「すごくネイルが凝ってて綺麗ですね」と、お声かけしたこともあります。
その方には30代の息子さんがいて、もうとうに子育てを卒業して、自分の仕事、生活、趣味に集中出来る現在があるわけで。
子供を公文に送迎するたびに思うのです。
「ああ、私もいつかこのような日が来るのかな」と。
正直、ネイルサロンに行こうと思えば行けるんです。
自分で時間を作ってやったっていいはず。
それをやらないのは、今の私はそれよりも他のことに時間やお金を使いたいから。子供のほうにお金をかけたいし、時間を使いたい。
そして、自分の趣味のほうの時間が欲しい。
今は小学生の子供も、いつかは巣立っていく日が来るはず。
ならば自分の爪先を彩らなくても、今はまだ公文の先生の余裕ある指先とライフスタイルを見ながらいつか来るであろう「子育て卒業」の日を待ち、ゆっくりそこから自分のための時間を使えばいいな、と。
そう思うわけです。
ちなみにですが、その公文の先生のことを「公文のボス」とわが家ではお呼びしています。何故かというと、良い意味で人生経験値の重みがにじみ出てて・・・、風格があるのです。
ああいう年の取り方をしたいな、と。
それから、実はわが家は全員ポケモンGOをプレイしてまして。
その中に登場する「ロケット団のボス・サカキさん」のイメージがあるのです。
公文のボスも、ロケット団のボスも、衣装が同じようにブラックです。
ボス。かっこいいです。